firediary

地方都市に住むアラフィフバツイチリーマンのライフログ

「自転しながら公転する」山本文緒

 

おもしろかった。プロローグには最後まで騙され通した。山本文緒さんは恐ろしい作家というか女性だと思う。亡くなってしまったのがとても残念。

「早く結婚すりゃあいいんだ」 「今どき、結婚したって働きますよ」「稼ぎのいい男を捕まえて養わせればいいんだ。で、若くて健康なうちに子供を産まないと」 「……産まないとどうなんですか?」 「幸せになれないだろう」

抑うつって……うつ症状ってことですか」 「そうです。思い切って休むという手もありますよ。仕事も恋愛も」 「恋愛も?」 ・・・ 「恋愛なんて楽なわけないですよ。人間同士の感情のぶつけ合いですからね」

「悪医」久坂部羊

 

僕と同じ歳で癌になって悪戦苦闘する患者と、末期癌患者の扱いで苦悩する医者のお話。めっちゃ良かった。寿命も才能も全てがランダムで不公平極まりないけど、それを当たり前としてどう生きていくか、なのかな。難しい。

「パルウイルス」高嶋哲夫

 

めっちゃおもしろかった。関係ないやと思ってたんだけど、僕が生きてる間に人類滅亡とかあるかもね。なーんて。

「このまま温暖化が進むと、新たな人類の危機がやってくる。異常気象や海面上昇、氷河の後退や永久凍土の凍解ばかりではなく、氷河や凍土の中に封じ込まれている新種のウイルスやバクテリアが活性化されて、地表に出てくる可能性がある。もし、感染力が強く、致死率が高ければ、人類存亡の脅威になる。私たちはコロナウイルスによって、十分な教訓を得て、学んだ。だがコロナウイルスによるパンデミックは、ウイルスとの戦いの序章にすぎない」

〈僕はコロナウイルスなどには興味はない。アメリカで、世界で何十億人が感染して、何億人死のうと関心はない。それは自業自得というものだ。これだけ自然を破壊し、大海と大気を汚染し、大地からその細胞である鉱物を盗み取っていく。何億種という生物種を発展と開発という名のもとに、絶滅へと追いやった。この人間が滅んでも、何の痛みも感じない。いやこの地球と、そこに生きる生物にとっては喜ばしいことだ。しかし、この地球の僻地でひっそりと暮らしている先住民が、このウイルスに蝕まれていくのには耐えられない。彼らにどんな罪があるというのだ〉